賃貸借契約が終了したときに、借主が借りた部屋を「一定の状態(原状)」に戻して返すことをいいます。裁判所の判断などでも、借主には原状回復をすべき義務があることが認められています。しかし、戻すべき「原状」が何を指すのかについては、貸主と借主の言い分に大きな開きがあることがあります。そのため、原状回復をめぐって以前から多くのトラブルが生じています。

原状回復ガイドラインについて
原状回復の取扱いについては、国土交通省がガイドラインを作成公表し、賃貸住宅契約の適正化を図ることを目的に、原状回復にかかる契約関係や費用負担などのルールのあり方などを示しています。原状回復に関連するトラブルが急増し大きな問題となっていたことを受け、2011年8月に再改訂版が公表されました。

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun.pdf

床や壁に入居時にはなかったキズや汚れが退去時にある場合、それをどこまで借主の費用負担において、もとの状態に戻さなければならないのでしょう。

上記は、特約がない場合の対応です。特約とは「当事者間の特別の合意・約束」などを意味します。賃貸借契約では、特約として、上記の原状回復義務を超えた負担を借主に課すことがありますので、契約時にしっかりと確認しておきましょう。

借主は、借りているものを善良な管理者として注意を払って使用・管理する義務を負っています(民法第400条)。これを「善良なる管理者としての注意義務」といい、一般には略して「善管注意義務」といいます。

●畳の裏返し、表替え(特に破損などしていないが、次の入居者確保のために行うもの)
●フローリングワックスがけ
●家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
●畳の変色、フローリングの色落ち(日照、建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの)

●カーペットに飲み物などをこぼしたことによるシミ、カビ
●冷蔵庫下のサビ跡
●引越作業で生じたひっかきキズ
●畳やフローリングの色落ち(借主の不注意で雨が吹き込んだことなどによるもの)
●落書きなどの故意による毀損

●テレビ、冷蔵庫などの後部壁面黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
●壁に貼ったポスターや絵画の跡
●エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡
●壁紙(クロス)の変色(日照などの自然現象によるもの)
●壁などの画鋲、ピンなどの穴(下地ボードの張替えは不要な程度のもの)

●台所の油汚れ
●結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ
●クーラー(賃貸人所有)から水漏れし、賃借人が放置したため壁が腐食
●タバコなどのヤニ・臭い
●壁などのくぎ穴、ネジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替が必要な程度のもの)
●クーラー(借主所有)から水漏れし、放置したため壁が腐食
●天井に直接つけた照明器具の跡
●落書きなどの故意による毀損

●網戸の張替え(破損などはしていないが次の入居者確保のために行うもの)
●地震で破損したガラス
●網入りガラスの亀裂(構造により自然に発生したもの)

●飼育ペットによる柱などのキズ・臭い
●落書きなどの故意による毀損

●全体のハウスクリーニング(専門業者による)
●エアコンの内部洗浄
●消毒(台所、トイレ)
●浴槽、風呂釜などの取替え(破損などはしていないが、次の入居者確保のため行うもの)
●鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)
●設備機器の故障、使用不能(機器の寿命によるもの)

●ガスコンロ置き場、換気扇などの油汚れ、すす
●風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビなど
●日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備の毀損
●鍵の紛失、破損による取替え
●戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草